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テレワークの活用で場所の制約と決別
全社的にテレワークを進める富士通株式会社に勤める戸塚絵里さんは、サテライトオフィスの設置が自身のワークスタイルに最も影響があったという。
戸塚さんのテレワーク活用について話を伺った。
撮影=尾崎大輔(2006年社学)
仕事、家事、育児を徒歩圏内で完結
私は金融機関向けシステムの企画・プロモーションを担当しており、社内のチームや取引先との会議が多いのですが、テレワーク(※)を活用することで時間を削減しています。連絡や資料作成は、社外での使用が許可されたノートパソコンで、カフェや飛行機の中、ホテル、取引先のオフィスなど、場所に関係なくできます。会議直前に資料を修正したり、会議後すぐに議事録を送付したりできるので、顧客から喜ばれるシーンも増えました。チームメンバーのスケジュールはオンライン上で共有されるので、打ち合わせ日程の調整も瞬時にできますし、複数の社員で電話会議をすることもあります。日本人の国民性なのか、直接顔を合わせない電話会議は意思疎通に困ることもありますが、これから慣れていきたいと思います。
会社が推進するテレワークの中でも、最も私のワークスタイルに影響を与えたのが、サテライトオフィスの設置です。拠点である本社への通勤は約1時間かかるのですが、自宅の徒歩圏内にサテライトオフィスができたことで、移動時間が大幅に削減されました。また、営業スタッフが集まる本社では、周囲から声を掛けられるなど、集中したい仕事に不向きな部分もあったのですが、サテライトオフィスは、個別用・集団用に分かれた作業スペースやカフェテリアが整備されており、用途や気分に合わせて好きな場所で仕事ができるので、効率も飛躍的に上がりました。
育児の面でもテレワークは非常に役立っています。ぜんそく持ちの3歳の娘がいるのですが、薬を切らしたときなどでも、病院に連れていき、保育園に預け、サテライトオフィスに出社するまで、全て午前中に済ませることができます。パソコンを持ち帰って自宅で作業すれば、本社から保育園へお迎えに行く移動時間を短縮でき、作る夕飯のおかずを1品増やすことができます。仕事とプライベートの境目がなくなり、無限に仕事ができてしまうことがストレスになる人もいるようですが、その日やるべきことを最低限の作業で完了させてから休むことができるなど、良い面も多いのではないでしょうか。パソコンのログイン・ログアウトと連動したシステム上での勤怠管理も徹底されているので、サービス残業など労務面のトラブルも起こりません。
テレワークは育児や介護を抱えている人以外にも有益だと思います。9月の台風15号のように交通機能がまひしてしまうような場合でも、私は自宅で仕事をすることができました。通勤ラッシュや東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で予想される都心部の混雑などの社会課題もあるので、場所にとらわれない働き方が、より広がっていくことに期待しています。
※ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない働き方。在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務などの三つに分けられる。
富士通の働き方ポイント
ICTを駆使した先端テレワーク
全てのデータがクラウドに保管される薄型のノートパソコンを支給し、万全なセキュリティーの下、テレワークを推進。パソコンには勤怠管理システムが搭載され、アラート表示による残業申請の義務化、22時以降の作業の禁止など、長時間労働の予防が徹底されている。国内外のグループ従業員13万人に同じコミュニケーションシステムを導入し、チャットやスカイプ、スケジュール共有ツールなどの活用を促進することで、業務のオンライン化を実現。
(プロフィール)
富士通株式会社 戸塚絵里
とつか・えり/1989年東京都生まれ。2012年教育学部卒業後、富士通株式会社に入社し、生命保険会社のアカウント営業を担当。産休・育休を取得後、現在は金融機関向け商品の企画・プロモーションを担当している。
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